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岡田和秀特許事務所

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研修資料

 

 

 

研修資料

 

この資料は特許について初心者である技術者の方を対象としマイクを使って説明をする際の研修資料として作成したものです。文章の推敲は特にしていません。簡略の漫画をプロジェクタで表示し技術者の理解の補助に使いました。 
この資料はご自由にご利用下さい。

研修資料の内容








 

この資料は特許について初心者である技術者の方を対象としマイクを使っ

 

て説明をする際の研修資料として作成したものです。文章の推敲は特にして

 

いません。簡略の漫画をプロジェクタで表示し技術者の理解の補助に使い

 

ました。

 

(1)特許の大切さについて

 

A社が、開発した技術を搭載した新製品は、いまや、会社の経営を支え

 

るものとなっていた。

 

もちろん、新製品が販売できるに至るまでには、全社一丸となっての大

 

変な苦労があり、販路の開拓、販売にいたるまでに多額の費用をかけ、市

 

場では売れ筋の製品となっていた。

 

他社はその業界に多くあり、いずれの会社も市場調査などで、売れ筋の

 

製品を調査しており、A社の新製品の技術は、当然、調査され尽くし、そ

 

の調査は、新製品が売れる最大の武器であった技術の調査にまで及び、そ

 

の技術が特許で保護されているかどうかまで調べていた。

 

他社は、A社の製品の売れ筋の原因となっている技術が何等特許で保護

 

されていなかったことを発見したのです。

 

他社は即座に社内会議をはかりその技術を自社の製品に搭載し販売する

 

ことを決定したのです。

 

もちろん他社はその技術についての開発に費用がかかっていませんので

 

数ヶ月もたたないうちに、A社と同じ機能の製品をA社よりはるかに低価

 

格で販売してくるようになりました。もちろんインターネット販促などで

 

宣伝も行いました。

 

A社の今までのユーザも他社の製品が目にとまり同じ機能なのに安価で

 

あるなどとして気に入りたちまちA社は製品の販売市場を奪われ経営収入

 

もなくなってしまったのです。

 

極端ですが肝心の技術が特許で保護されていなかったのですから仕方が

 

ありません。

 

この例ではA社が苦労を重ねて開発した技術が特許で保護されていなか

 

った結果です。

 

研修資料

 

1 一方多額の費用をかけて開発した技術が自社独自であると考え新製品に

 

搭載して販売していたところ、他社がその技術に特許を得ていることがあ

 

ります。

 

そうしますと新製品の技術について他社が特許を保有していますので、

 

他社から特許侵害の警告が来て製造および販売の中止と共に損害賠償など

 

で多大な損失をこうむることもあります。

 

いずれにしましても製品に搭載する技術は特許を申請することが必要で

 

す。

 

一方、製品に搭載する技術について特許があってもその技術にたいして

 

改良の努力は日々必要です。

 

なぜならユーザの要求は変わりやすく、また他社はそれを超える技術の

 

開発をしているかもしれないからです。

 

そのため技術をさらに改良し改良した技術について特許を受けることは

 

新製品開発のうえではまず第一歩に重要なこととなります。

 

技術を改良すれば、また新しいアイディアを考えついたならば真っ先に会

 

社が定めたお手元の出願提案書に記載して届け出ましょう。そして困った

 

ら知財に相談するなどしましょう。

 

出願提案書を提出することは会社を守り支え発展させることは疑いのな

 

い事実です。私の長年の経験から出願提案書が活発な会社は例外なく発展

 

しています。

 

次に出願提案書を提出することがなぜ開発した技術をまもることになる

 

のか特許で保護を受けることができることになるのか、またそれは理解で

 

きてもそれではどのようにして出願提案書に書けばよいのかなど悩みがあ

 

ります。それにつきましてこれから説明をさせていただきます。

 

(2)開発した技術について特許により保護を受けるには

 

以上説明させていただきましたように会社の発展には日々の技術革新そ

 

れに伴う特許による保護は必要不可欠です。

 

しかし技術を完成したという事実を国に申請するだけではその技術はな

 

んら特許で保護を受けることはできません。

 

完成した技術について特許で保護してもらうには国が定めた方式に即し

 

た書類を国(特許庁)に提出する必要があります。

 

この書類には、主に3つあります。

 

その書類の名称は1つは「明細書」でありもう1つは「特許請求の範

 

2囲」さらにもう1つは「図面」です。(…ここでそれら書類の見本をお渡し

 

します。…※特許法施行規則様式第29)

 

「明細書」という書類は(…ここで、説明します…)、この明細書に記載の

 

項目に沿って記載すれば国が定める記載に適うものとなります。

 

「特許請求の範囲」という書類は保護してほしい技術を記載する書類で

 

す。(…ここで特許請求の範囲について説明します…)

 

この「明細書」と「特許請求の範囲」の二つの書類に記載することが技

 

術を保護するための両輪となります。

 

「図面」という書類はこれら書類に記載の技術の説明をするうえで補助

 

の役割をしています。「明細書」で発明を説明する際に図面を参照して行い

 

ます。

 

そして日々の改良した技術を守ってもらうために国に正式な書類として

 

「明細書」「特許請求の範囲」「図面」を申請するのですが、この正式な

 

書類の記載は専門的であり弁理士が作成します。みなさんはこの正式な書

 

類に技術内容を書いていただく必要はありません。(…国に正式に提出する

 

書類と会社の発明届出書類との関係を簡単に説明します…)

 

その書類に代えて出願提案書に日々改良した技術を記載することで日々

 

の改良した技術を特許として保護を受けることができる第一歩のスタート

 

をきることが出来るのです。

 

しかし出願提案書を出すことの重要さは理解できても出願は特殊なもの

 

で身近ではないのではとかどのように提案書に記載してよいのかわからな

 

いなどの悩みがあります。

 

そこで次にどのようにして提案書に記載しその技術を特許で保護しても

 

らうとよいのかについて説明させていただきます。

 

(3)提案書の書き方について

 

出願提案書の説明にさきだち発明とは何かについて簡単に説明させてい

 

ただきます。

 

(発明とは何か)

 

発明と言うと何か特殊なものと思われがちです。日本では発明について

 

法律上の定義はあります。一方発明の定義がない国もあります。各国はさ

 

まざまに扱っています。しかし、こうした発明の定義を難しく考える必要

 

はなんらありません。

 

技術の開発をしていますと従来の技術のどこかに問題点を発見すること

 

3ができます。完璧な製品と思っていましてもユーザの要求に沿わなくなった

 

り古い型式となったりします。

 

そうしますと製品として問題が起きてくるわけです。

 

問題点として自社製品の速度が遅い誤動作が多いバグがよくおきる効率

 

が悪いコストがかかりすぎる操作が不便であるなどなどです。

 

また自社製品に問題点がないと思っても他社の新技術の登場ユーザの要

 

求市場の変化がありそれらに対処する必要がその問題点となります。

 

そういったさまざまな問題にぶつかりますとそれを解消するべく技術を

 

少し改良したりまったく新しい技術を考えたりする必要があります。

 

そうして考えついた技術そのものが発明です。

 

つまりみなさんが開発されている技術が出願提案書に記載する発明と考

 

えていただくとよいとのです。

 

みなさんの技術を分類しますと、例えば、ソフトウエアェア・回路・基

 

板・機構などがあります。回路・基板・機構そのものはいずれも物であり

 

特許を受けられます。しかしソフトウエアエアの設計を含めて他の設計も

 

ソフトウエアエアであれば以前は物ではないとして特許による保護はむつ

 

かしかったのです。

 

しかし現在はソフトは物の発明として特許を受けることができるように

 

なっています。各国で多少扱いに違いはありますが、世界的にもソフトウ

 

エアについて特許を受けられるようになってきました。ソフトに関する出

 

願提案書の書き方はあとで説明させていただきます。

 

3-2、出願提案書の書き方

 

提案書は技術者のみなさんの頭の中で考えられている技術を外部に「見

 

える化」するためのものです。その「見える化」するために出願提案書に

 

は複数の記載項目があります。

 

ごらんになられますとその項目の中で「発明の名称」「発明の背景」

 

「実施形態(発明の具体例)」「図面」があります。それらについて説明させ

 

ていただきます。

 

出願提案書はさきほど国に提出する書類と比較していただくと対応して

 

いることがおわかりかと思います。(…対応関係を説明します…)

 

対応していることはわかりましたので出願提案書の書き方を説明しま

 

す。

 

私も以前に技術者として働いているとき特許を出すようにいわれ会社の

 

4出願提案書に何をどのように記載していいかさっぱりわかりませんでし

 

た。

 

その発明はつぎのようなものです。私は大手電気メーカーの技術者でし

 

た。

 

はんだごてで、ICの多数の端子を基板に、毎日、半田付けする作業を

 

していました。この作業はたいへんいやでした。端子の数がとても多く、

 

何十枚もあります。

 

現在では、コンピュータロボットですべて自動化されていますが、当時

 

は、そうではありません。

 

しかも、半田付けのときに発生する蒸気を吸い込みつづける毎日です。

 

鉛蒸気ですので、体にいいわけがありません。

 

そこで、はんだごての先端にカバーをかぶせ、それをパイプに接続し、

 

そのパイプから空気を吸わせ、同時に半田の蒸気も吸い込むことで、私の

 

鼻から半田蒸気が吸い込まれるのを防止することを考えたのです。

 

特許の方から、その発明を書いてくださいといわれました。

 

そこでの私は提案書の記載の指導を受けそれに従い出願提案書に漫画を

 

書いて記載しました。

 

社内の提案書にはいままではこうであった(従来技術)。これでは、こ

 

れこれでたいへん問題です(その問題点)。これを解決したいので研究し

 

た結果解決できた(発明の要点)というストーリーを記載しそれから具体

 

的にこれこれというようにするつまり実施形態を図を参照して記載するこ

 

とで結構です。

 

①、「発明の名称」の記載について

 

実際の明細書での「発明の名称」は特許の権利範囲を狭くしないように

 

広い概念で記載するようにしています。

 

しかし出願提案書にはそのようなことを考えて「発明の名称」を記載す

 

る必要はまったくありません。最終的な発明の名称は弁理士に任せるとよ

 

いのです。

 

例えばコンピュータの技術であれば単に「発明の名称」コンピュータで

 

もかまいません。

 

任意にご自分で自由に記載していただいて結構です。

 

②、「発明の背景」の記載について

 

「発明の背景」には簡単に「従来の技術」はこうなっていた。しかしそ

 

5の技術には「従来技術の問題」がある。そこで「その問題を解決する手段

 

した」を簡単に記載します。

 

「従来の技術」の記載について

 

まず、発明が生まれるまでには、いろいろないきさつがあります。例え

 

ば、毎日、仕事をしていますと、仕事をして給料をいただいていますが、

 

気になるのは、例えばコンピュータを例にあげますと、インターネットな

 

どその他で、他社のコンピュータは、よく売れているらしい、どうしてか

 

な、その技術はどのようになっているのだろうかと、当然のことですが、

 

研究します。また、自社のいまのコンピュータは、これこれの問題点があ

 

る。その問題点を解決したい。

 

そこで、「従来の技術」には、現在のコンピュータはどうなっているの

 

かを記載します。

 

さきほどの私のはんだごての例ですと、

 

「従来、回路基板上にICの端子を半田付けする作業は、作業者がはん

 

だごてを用いて行う作業となっている。」

 

という記載になります。

 

「従来技術の問題点」

 

さきほど、説明させていただきましたように、従来技術の問題点は見え

 

ています。従来技術の問題点は、ユーザから指摘されたり、営業から指摘

 

されたり、ご自身が気づいたりし、開発チームやプロジェクトからも互い

 

に指摘されたりします。そうした問題点もあります。また、私の例のよう

 

に、作業者自身が毎日の作業から考えるものもあります。

 

先ほどの私のはんだごてを例にあげますと、「半田付け作業では、半田

 

付けの高温により半田が溶融する。このとき半田の蒸気が発生し、半田付

 

け作業近傍の風の流れにより、半田の発生蒸気流が起き、作業者は、吸い

 

込んでしまいやすい。こうした半田の蒸気を吸い込むことはよくない」と

 

いうのが、「従来技術の問題点」になります。

 

なお、特許庁に提出する明細書では、従来技術に対応した特許の文献、

 

インターネットの情報、雑誌、論文などを記載することが義務付けられて

 

います。これは、特許の審査の都合のためです。

 

自分が知っている文献などがあるのに、記載しませんと、特許の拒絶理

 

由となります。しかし、そうした文献などを知らなければ、記載する必要

 

はありません。

 

6 そのため、提案書の「先行技術調査状況」という記載欄があります。そ

 

こに、ご自分が知っておられます先行技術を記載していただければ、結構

 

です。

 

あくまで、先行技術を知っているということですので、提案書の段階

 

で、調べる必要はありません。

 

なお、提案書の記載からはずれますが、研究開発のたちあげでは、先行

 

技術の調査は必須です。それは、すでに世の中に実在する技術を知らず

 

に、開発すれば、たいへんむだな投資になるからです。

 

「従来の技術の問題点の解決手段」の記載について

 

ここでは、提案書に記載されていますように、従来技術の問題点をどの

 

ようにして解決したかを簡単にまとめて記載します。

 

先ほどの私のはんだごてでは、はんだごての先端にフードをかぶせ、発

 

生した半田の蒸気をフードから別の排気口へ導くというものです。

 

これが、「従来技術の問題点の解決手段」になります。

 

このように、従来技術に問題点があるのですから、その問題点の解決に

 

向けて、考えます。そうだ、こうすれば、問題点を解決できると、わかれ

 

ば、問題点を解決できるようになったポイントを記載すればよいのです。

 

抽象的でかまいません。

 

例えば、従来の場合の問題点である電力の消費をこのようにして解決し

 

た、このようにしてコストを低減できた、このようにして速度を格段とは

 

やくさせることができた、などを記載すればよいのです。

 

③、「実施形態」の記載について

 

「実施形態」の記載は、先ほどの私のはんだごてでは、

 

具体的には、

 

a、はんだごての先端にフードをかぶせること、

 

b、そのフードとエアー吸い込み用の通路の前端部を接続すること、

 

c、その通路の後端部に空気吸い込みのためのプロペラを配置する、

 

d、そのプロペラを乾電池駆動のモータで駆動する、

 

ということが、

 

「実施形態」になります。

 

ここでの記載は、あくまで、先ほど「特許請求の範囲」の書類について

 

説明させていただきましたが、「特許請求の範囲」に記載してある技術

 

は、自社のみが、独占的に製造し、販売したいと思う技術を記載します。

 

7 そうした技術の独占を国から認めてもらうのですが、その代わりに、そ

 

の技術が具体的にどのようになっているのかを説明しない限り、特許をも

 

らうことはできません。ここでの記載の要件は、法律で定められていま

 

す。その要件を少し詳しく説明させていただきます。

 

要件は二つあります。

 

一つ目は「特許請求の範囲」に記載してある技術を裏付ける技術を「実

 

施形態」に記載するというものです。例えば「特許請求の範囲」に記載し

 

てある技術に「画面上にマウスを描画したい画像になぞって操作させるだ

 

けで画像作成できるソフトウエア。」というものに対して「実施形態」に

 

は「画面上にマウスを描画したい画像になぞって操作させるだけで画像作

 

成できるようにしたソフトウエア」という記載のみではだれも理解できま

 

せんし実施もできません。

 

そこでそのソフトウエアの内容を具体的に説明して「特許請求の範囲」

 

に記載してある技術を裏付ける記載をすることが必要です。これは特許法

 

という法律で要求されています。

 

二つ目はその技術分野で働く技術者が「実施形態」の記載を読むだけで

 

簡単にそのソフトウエアを製作できることが要求されます。

 

そのため「実施形態」には説明しました二つの要件を満足させる技術を

 

記載することが必要となります。

 

しかしこの二つの要件を満たすように記載することは記載が長くなりお

 

忙しい技術者の方には難しいと考えます。

 

そのためにみなさんに代わって専門家である弁理士が法律が要求する要

 

件を満たすように記載するのです。

 

そのため、みなさんは、難しく考えて記載していただく必要は決してあ

 

りません。従来技術のどこをどのように解決したかを図面をつけて具体的

 

に記載していただくことでかまわないのです。

 

この場合に文章だけでは百聞は一見にしかずということわざにもありま

 

す。そこで発明を表す図面を用いて説明するとよいのです。

 

「実施形態」には発明の具体的な構造・動作・原理などを説明するので

 

すが、図面が無く文章だけで説明するのは難解で読む人に理解してもらえ

 

るように記載するのは至難です。

 

発明を表す図面があれば説明は簡単です。みなさんの発明を「実施形

 

態」のところでは具体的にその構造・動作・原理などを文章のみで詳しく

 

8記載することはとても難しいと思いますし、詳しく記載する時間もないこ

 

とが多いと思います。

 

そこで「実施形態」のところでは、図面を参照しながら、箇条書きでで

 

も結構ですから、どのようにして、例えば発明の装置が、構成されて動作

 

するのを記載していただき、後は、専門の弁理士と打ち合わせするとき

 

に、図面を用いて、発明を、具体的に説明していただければ、よいのです。

 

「図面」の記載について

 

提案書には、発明の内容を表すことができる図や表を記載します。例え

 

ば、ソフトウエア、回路設計、情報、通信の発明ではブロック図、回路

 

図、タイミングチャート、フローチャート、状態遷移図、グラフ、表、そ

 

の他を用いて説明します。機械では、平面図、斜視図、断面図、などを用

 

いて発明を説明します。

 

コンピュータプログラムの発明の場合について説明します。近年は、ほ

 

とんどが、コンピュータに作業を行わせる時代です。そのためのプログラ

 

ムの開発はいろいろです。特許法では、以前は、プログラムは、認められて

 

いませんでした。しかし、プログラムは、一定の条件のもとに、特許を受

 

けることができるようになりました。

 

プログラムは、物の発明として特許を受けることができます。

 

コンピュータは、制御、演算、記憶、入出力という機能を有します。プ

 

ログラムは、このコンピュータに処理手順を実行させるものです。プログラ

 

ムは、コンピュータに対する指令です。プログラミング言語で記述された

 

ソースプログラムではありません。したがいまして、ソースプログラムのよ

 

うな詳細は要求されません。

 

プログラムの特許を得るには、コンピュータ等のハードウエア資源(C

 

PU、メモリ等)との関連性が必要です。プログラムは、処理を1つ1つ

 

の手順にわけて整理し、その順序を表現した記号と線とで表したもので

 

す。フローチャートは、そうしたコンピュータの仕事(処理)を1つ1つ

 

の手順に分けて整理し、その順序を明確に表現した図記号と線で表したも

 

のです。そのため、プログラム発明では、プログラムを実行するコンピュ

 

ータに対して、そのプログラムにより、その処理をどのように実行させる

 

かの手順が記載されたフローチャートの記載が必要です。

 

また、コンピュータを含む装置のブロック図が必要です。

 

なお、プログラムをコンピュータが読み取り可能にした記録媒体も特許

 

9を受けることができます。例えば、コンピュータに手順a,b,cを実行

 

させるプログラムという表現などで特許を受けられます。ただし、コンピ

 

ュータ等のハードウエア資源(CPU、メモリ等)を用いることが必要で

 

す。したがって、ソフトウエア設計の発明では、コンピュータを有する装

 

置(CPUを図示する必要は必ずしもありません)のブロック図と、コン

 

ピュータのソフトウエアを用いた実行手順をあらわすフローチャートが必

 

要です。

 

〔事例〕

 

特許公報を[事例]として挙げます。

 

(プログラム特許の例)

 

特許4973867…オムロン

 

コンピュータを、

 

PLC制御プログラムを構成するファンクションブロックの入出力変数

 

のセットをインタフェースとして管理する手段、

 

ファンクションブロックの代わりに前記インタフェースを型としたインス

 

タンスを用いて制御プログラムの動作ロジック或いはファンクションブロ

 

ックの内部プログラムの動作ロジックを作成する手段、

 

ファンクションブロックに対し、前記インタフェースの実装を宣言し、そ

 

のインタフェースに定義されたものと同一定義の入出力変数が当該ファンク

 

ションブロックの入出力変数として追加されるとともに、追加された入出

 

力変数に当該インタフェースの構成要素である旨の情報を記録する実装宣言

 

手段、

 

前記動作ロジック内に記述されたインタフェースのインスタンスのボディ

 

として、そのインタフェースと同一定義のインタフェースが実装宣言された

 

ファンクションブロックを関連付けることで、当該ファンクションブロック

 

の内部を編集することなくPLC制御プログラムのコントローラインスタ

 

ンス構成を作成するコントローラインスタンス構成設定手段、

 

として機能させるためのプログラム。

 

このプログラムの例では、コンピュータに、各手段を機能させるプログラ

 

ムです。

 

図面はつぎのものです

 

ブロック図

 

機能的なブロック図

 

11画像の図

 

フローチャート

 

1213フローチャート

 

14(プログラム特許の例)

 

特許4973393…セイコーエプソン

 

対象画像中の特定の被写体の画像を検出する被写体検出機能と、

 

上記被写体の実の大きさを示す第1の被写体サイズ情報を取得するサイズ

 

情報取得機能と、

 

上記対象画像の撮像に用いられる単眼レンズから上記被写体までの距離を

 

示す被写体距離情報を取得する距離情報取得機能と、

 

上記単眼レンズを介して捉えられる上記被写体の大きさと両眼によって知覚

 

される上記被写体の大きさとの比率を表す比率情報を取得する比率情報取

 

得機能と、

 

上記取得された比率情報に基づいて、対象画像上における上記被写体の画

 

像を含む領域の画像変形を行う変形処理機能と、をコンピュータに実行さ

 

せる画像処理プログラムであって、

 

上記比率情報取得機能では、上記第1の被写体サイズ情報と被写体距離情

 

報と基づいて、上記単眼レンズを介して捉えられる被写体の大きさを算出

 

し、かつ、上記第1の被写体サイズ情報と被写体距離情報と予め規定され

 

た左右両眼間の距離を示す両眼距離情報とに基づいて、左眼によって知覚

 

される被写体の大きさを示す左眼知覚範囲と右眼によって知覚される被写

 

体の大きさを示す右眼知覚範囲とを算出し、左眼知覚範囲と右眼知覚範囲

 

とを、被写体上の注視点に対応する左眼知覚範囲上の点と当該注視点に対

 

応する右眼知覚範囲上の点とを一致させることにより重ね合わせたとき

 

に、左眼知覚範囲および右眼知覚範囲に共通する範囲を、上記両眼によっ

 

て知覚される上記被写体の大きさとする、ことを特徴とする画像処理プロ

 

グラム

 

15ブロック図

 

16フローチャート

 

17画像の説明のための図

 

18(PLC技術の特許の例)

 

特許4969315…株式会社キーエンス

 

プログラマブルコントローラの動作状態がデバイス値として格納される複数

 

のデバイスからなるデバイスメモリと、監視対象に指定された上記デバイス

 

から読み出されたデバイス値が書き込まれるリングバッファとを備え、上記

 

リングバッファ内のデバイス値を時系列的に表示する端末装置が接続可能に

 

構成されたプログラマブルコントローラであって、

 

上記デバイス値に関する演算処理が記述された制御プログラムを繰り返し

 

実行する制御プログラム実行手段と、

 

上記制御プログラムの実行周期に同期して、上記リングバッファ内の時系列

 

順の書込位置にデバイス値を書き込むデータ書込手段と、

 

上記データ書込手段の平均書込速度よりも小さな平均読出速度で上記リング

 

バッファ内のデバイス値を読み出し、上記端末装置へ送信するデータ送信

 

手段と、

 

上記データ書込手段による上記リングバッファへのデバイス値の書き込みを

 

中止させるためのトリガー条件として、特定の上記デバイスに関する条件を

 

ユーザが指定するトリガー条件指定手段と、

 

上記特定のデバイスについてトリガー条件の成立を判定するトリガー条件判

 

定手段とを備え、

 

上記データ書込手段は、上記トリガー条件が成立した場合、所定のデータ

 

量だけデバイス値を書き込んだ後に、デバイス値の書き込みを中止し、

 

上記データ送信手段は、上記データ書込手段がデバイス値の書き込みを中

 

止した後に、上記トリガー条件の成立時点の前後に亘って予め定められた

 

範囲で書き込まれているデバイス値のうち、上記平均書込速度及び上記平

 

均読出速度の差により読み出すことができなかったデバイス値を読み出

 

し、上記端末装置へ送信することを特徴とするプログラマブルコントロー

 

ラ。

 

19ハードウエア

 

20機能図

 

21この特許は、ハードウエアが上の図

 

後は、フローチャートと画像例です。

 

22(回路設計の例)

 

特許4955484…ルネサスエレクトロニクス株式会社

 

回路を記述した第1ハードウェア記述に含まれるフリップフロップから

 

第1クロックおよび制御信号を受信するフリップフロップを抽出するとと

 

もに、前記抽出したフリップフロップが受信するクロックを第2クロック

 

に変更した第2ハードウェア記述を生成し、この第2ハードウェア記述に

 

対して、前記第1クロックおよび前記制御信号に基づき前記第2クロック

 

の供給を停止する制御回路を挿入した第3ハードウェア記述を生成するプ

 

ロセッサを有し、

 

前記制御信号は、前記第1ハードウェア記述に含まれるフリップフロップ

 

が受信するリセット信号であることを特徴とする回路設計装置。

 

23本発明の実施形態1に係る回路設計装置の概念を示した図

 

回路設計装置を計算機上で実現する場合の構成例を示す図

 

24フローチャート

 

25この特許は、ハードウエアとフローチャートです。

 

26(回路設計の特許の例)

 

特許4862695…日本電気株式会社

 

共振による電源ノイズを低減するためのスナバ回路が設けられる回路基

 

板の設計システムにおいて、

 

前記回路基板の電源-グランドプレーンの共振周波数を解析する共振周

 

波数解析手段と、

 

前記共振周波数解析手段の解析結果に基づいて、共振周波数を抽出する

 

共振周波数抽出手段と、

 

前記共振周波数抽出手段が抽出した共振周波数に基づき、前記スナバ回

 

路の適切な抵抗値を求める適切抵抗値算出手段とを具備し、

 

前記適切抵抗値算出手段は、周波数に対して線形な近似式を用いて、前

 

記スナバ回路の適切な抵抗値を求めるように構成したことを特徴とする回

 

路基板の設計システム。

 

27この特許もハードウエアと、フローチャートと、グラフを用いて説明

 

28(プログラマブルコントローラの検証の特許の例)

 

特許3112297…株式会社日立製作所

 

プログラマブルコントローラ用ソフトウェアのシーケンス制御ロジック

 

中のフィードバックループの動作を検証する方法において、

 

前記フィードバックループで信号遅延が生じない場合と生じた場合とで

 

該フィードバックループの出力が変化するか否かを調べ、変化がある場合

 

には該フィードバックループで誤動作が発生する可能性があるかと判定す

 

ることを特徴とするプログラマブルコントローラ用ソフトウェアの検証方

 

法。

 

2930この特許でも、ハードウエア、フローチャート、タイミングチャート、ロジ

 

ック

 

の図面です。

 

31(プログラマブルコントローラのプログラム検証)

 

特公平06-040282…株式会社安川電機

 

少なくとも、外部の信号を取り込む入力部(1)と、外部へ信号を出力する出

 

力部(3)と、プログラムを記憶させておくプログラムメモリー部(5)と、リレ

 

ーの状態等を保持するデータメモリー部(2)と、前記プログラムメモリー部

 

(5)に記憶されているプログラムを実行するとともに前記データメモリー部

 

内のデータを読み出して演算を行なう演算部(4)とを有するプログラマブル

 

コントローラにおけるプログラムの検証方法において、

 

前記プログラマブルコントローラ内のリレーのそれぞれに対し1ビット

 

の状態変化記憶フラグを対応させ、該当するリレーの状態が変化したかど

 

うかを記憶する状態記憶部(507)を設け、プログラムの検証に先立って前記

 

状態記憶部(507)の状態変化記憶フラグを全て0にリセットし、プログラム

 

メモリー部(5)よりプログラムを読み出し、各リレーについて新状態が付勢

 

であるか消勢であるかを計算し、新状態が旧状態と同じかどうかを判断

 

し、同じでなければ状態変化記憶部の該当部のフラグを1に書き換え、こ

 

れを全リレーについて行い、前記状態変化記憶フラグの状態を出力部(3)を

 

通して外部に表示することを特徴とするプログラマブルコントローラにおけ

 

るプログラムの検証方法。

 

32ブロック図

 

33フローチャート

 

ラダー図

 

34(機構設計の特許の例)

 

特許4965397…株式会社豊田中央研究所

 

断面円形状の外周面を有する中心要素と、

 

断面円形状に形成されると共に前記中心要素の外周面に接触された外周面

 

を有し、該外周面における前記中心要素の外周面との接触点を周方向に変

 

位させつつ該接触点に作用する摩擦により周方向に駆動力を伝達させるた

 

めの複数の遊星要素と、

 

前記複数の遊星要素を、それぞれの軸心廻りに回転自在で、かつ該複数の

 

遊星要素が前記中心要素の周方向における相対位置を変化させることを許

 

容するように支持する支持要素と、

 

前記中心要素と同軸的な円環状に形成されると共に前記複数の遊星要素の

 

各外周面のそれぞれに接触された内周面を有し、前記内周面における前記

 

複数の遊星要素の各外周面との接触点を周方向に変位させつつ該接触点に

 

作用する摩擦により周方向に駆動力を伝達させるための周囲要素と、

 

を備えた摩擦型遊星動力伝達機構の設計方法であって、

 

前記複数の遊星要素の前記相対位置の変化に応じて変化する前記周囲要素

 

と前記各遊星要素との間に作用する径方向の荷重の変化率を、前記遊星要

 

素の径方向の剛性に対する前記周囲要素の曲げ剛性の大きさに基づいて設

 

定するようにした摩擦型遊星動力伝達機構の設計方法。

 

機構とグラフと解析モデルの図です。

 

(機構設計の特許の例)

 

特許4139658…株式会社リコー

 

【請求項1】

 

機構系をモデル化した機構モデルと制御系をモデル化した制御モデルとを、

 

少なくとも一つの解析手段により解析した結果に基づいて、前記機構系と

 

前記制御系とからなる全体系の応答を計算する機構制御系設計方法であっ

 

て、

 

演算装置が、前記機構モデルを基に各解析手段に前記機構系の挙動の状態

 

方程式を書き出すステップと、

 

35前記状態方程式に基づいて、前記演算装置が、前記制御モデルを基に各解

 

析手段に前記全体系の応答を出力するステップと、

 

前記状態方程式及び前記全体系の応答を基に、前記演算装置が、予め設定

 

された目的関数を満足するように、前記機構系と前記制御系との設計パラ

 

メータを同時最適設計する同時最適設計ステップとを有し、

 

前記同時最適設計ステップは、前記機構系と前記制御系との設計パラメー

 

タのそれぞれについて、制約条件の下に解空間を等分割し、

 

各等分点における前記全体系の応答をサンプリングし、

 

サンプリングした各等分点における前記全体系の応答に基づいて、前記目

 

的関数を最も満足する等分点を各設計パラメータごとに探索して決定する

 

第一最適化工程を有することを特徴とする機構制御系設計方法。

 

36図1

 

図2

 

図3

 

図4

 

3738図7

 

この特許は、ハードウエア、グラフ、フローチャートです。

 

発明を表現する方法としての図です。ハードウエアは、必須です。

 

ソフト、基板、回路、機構のいずれも、ハードウエア構成の図面は必須

 

です。

 

物だけの発明ですと、ハードウエアの図面でよいのですが、物だけでは

 

なく、機能に特徴があれば、機能を現す図、手順ですと、フローチャート

 

の図面が必要です。

 

以上で提案書の作成方法、つまり、特許の書き方について説明させて頂

 

きました。

 

(4)提案書では、自身の発明を正しく、伝えることが必要です。

 

提案書が不明確ですと、それに従い、作成される明細書も不明確とな

 

り、審査もとおりにくくなります。

 

しかし、技術者の皆さんの知識量は、明細書の作成者である弁理士と比

 

較して多くあります。

 

そのため、提案書には、技術Aから技術Bに説明を進めるときに、みな

 

さんの頭の中で、技術Cの説明を推測することが行われます。その技術C

 

の説明は省略されてしまいがちとなります。

 

39 しかし、弁理士はその技術Cの推測はできません。そのような場合、弁

 

理士は、理解が困難ため、権利範囲が広く、強い明細書を作成するうえ

 

で、たいへん不利となります。

 

そこで、明細書の作成にあたりましては、みなさんと打ち合わせさせて

 

いただくことは、その技術Cを明細書に記載するために必要となります。

 

(5)メモの大切さ

 

そうか、他社のコンピュータは、こうなっていたのか。これが、発明の

 

きっかけになるのです。やはり、ひごろから、問題点意識をもつことが、

 

大切です。

 

しかし、この発明のきっかけも、メモしませんと、忘れてしまいます。

 

開発チームの中ではテーマがあります。それに向けて日々研究します。開

 

発の成果がなかなかあがらない。問題点が解決できない。

 

しかし、ふとしたことで、解決の糸口を発見できます。それをメモする

 

のです。そして、そのメモは提案書の前ステップともいえます。

 

(6)知財への相談

 

メモに発明を記載します。そのメモがたまってきた。しかし、忙しく

 

て、出願提案書に記載する時間がとれない。そういったときは、迷わず、

 

知財にまず、ご相談ください。また、知財から弁理士にご相談してくださ

 

い。

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ごあいさつ

代表者 岡田和秀
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(略歴) 
・大阪大学基礎工学部電気工学科卒
・同大学卒業後、シャープ株式会社に入社。同社で研究開発部門を経て知財部門に勤務。
・同社在職中に弁理士資格を取得。
・昭和56年に同社を退職し事務所を開設し現在に至ります。

(趣味)
・スポーツ観戦
・居酒屋探検
・ウォーキング

(モットー)
誠実に尽くすこと。